グランプリ京都13

2013年11月23日 音楽


◆グランプリ前日(金曜日)

 らっしゅがここまでチームシールドを何回か練習してきた感想として、「3個目のデッキをいかに強く作るか?」がカギだ、という話を始める。

 青白英雄的、緑タッチX、黒系の何かという構成にすると、大抵は黒デッキがお荷物になる。黒単色に近づけると守備的な黒いカードがコンセプトに関わらずカードパワーの高さゆえにデッキに優先して採用されてしまい、結果として「守備的な黒」になってしまうからだ。

 この環境の守備的なデッキは弱い。にも関わらず黒の強いカードの使いどころがなくなるため、今までは何も考えずに3つ目のデッキの軸として適当に放り込んでいた。

 しかし、それでは2トップだけで戦っているのと大して変わりがない。

 そこで、守備的な黒のパーツはいっそ緑と合わせてしまい、青白、緑黒、そして(バウンスをフル投入した)青黒か青赤のミッドレンジで3個目を作る。これが3つのデッキの総合力をなるべく落とさずに組めるやり方なのではないか……それをらっしゅが言いだしたのが出発前日。

 そんなわけで前日サイドイベントのチームシールド4回戦でその戦略を試してみることに。

 それに、これまで俺たちはチームシールドで「明確に弱いパック」を引いたことがなかった。「このままでは本番で弱いパックを引かされてしまう」と直感的に感じた俺たちは、その1回分を一足早く消化してしまうために、一回でも多くチームシールドの練習をしておきたかったのだった。

 ……しかし、もらったプールが普通に強く、うっかりこれまでのセオリーどおりに緑赤タッチ青/青白英雄的/黒白コンで組んでしまう。まあこれでもプールが強くて3-0-1はできたのだが、「3個目のデッキをいかに強く作るか?」という課題は置き去りとなってしまった。

 何せ『神ブラ』の3人で出たチームシールドはこれまで3回で5-0、4-1、3-0-1。

 もらったプールがこれまで取り立てて化け物というレベルではなかったことを考えると、今まで通りのレベルのプールがもらえれば絶対に勝てる、何せこの環境は圧倒的に練習ゲーであるにも関わらずまともに練習していない、あるいは戦略を立てていないチームが多い。したがって俺たちの優勝、最低でもトップ4は確実。

 そんなふうに考えていたからだ。



◆グランプリ一日目(土曜日)

 チェックパックは今までの練習と同じくらいのパックで、「まあこれくらいもらえれば十分だよね」「これなら全然勝てるね」と話していた。

 ところが対面と交換したパックをチェックしてみると、『英雄的』の強いカードも《ネシアンのアスプ/Nessian Asp(THS)》もなく、「これは弱いね」「うん、もらいたくない」ということで意見が一致した。

 まさかそれがそのまま使用パックになるとはね。

 「それがあなたたちが今日使うパックです」と宣言された瞬間の俺たちの表情といったら。たっぷり30秒はあまりの絶望的な事態に固まっていた。

 No Heroic and No Asp.

 文字にすると大したことはないように見える。

 しかしこれがどれほど終わっているパックなのかは、1回でもチームシールドを練習したことがある人ならばわかるだろう。

 これが京都の呪いか。

 俺とらっしゅが青白GAPPOでマジックの神を冒涜してしまった(http://www.happymtg.com/column/atsushi_ito/11629/)からなのか。

 いずれにせよ俺たちは、確率の分散の最低値を見事に引き当ててしまったのだ。

 それでも、隣で「このパック結構強いね」「でもボム引かなかったよね」とか言いながら俺たちのパックを使って構築していた3人を《暴行+殴打/Assault+Battery(INV)》したい衝動に駆られながら、何とかデッキ構築を始めようとした。

 だが、この緊急事態に俺たちは混乱し、あるいはここまで弱いレベルのパックを引いたことがないということもあって、構築は迷走した。

 最終的に時間ギリギリで緑黒タッチ白青/青赤/青黒という形を見出しはしたが、らっしゅの使う予定の緑多色の細部が詰め切れなかったのはもちろん、本来なら全てらっしゅに渡す予定のサイドカードを登録時間の関係上らっしゅに渡せなかったのは痛恨の極みだった。

 はたして結果は、

△〇×〇〇〇〇〇×

 の6-2-1、バブルマッチに負けて初日落ち。

 初戦でらっしゅが黒同型を踏み、相性は良いのだが一回戦ということもあって誰も時間管理できてなくて引き分けてしまい、そこからは引き分けになるようなレア満載デッキが含まれたチームを踏み続けた。

 個人成績は5-4だが、4ターン目ポルクラノス×2と、エルズペス+嵐の息吹と、こっち青黒飛行ビートに対して相手緑単タッチ赤でナイレアの弓+ゼナゴスと、プールの全ての緑と青を結集させたデッキにそれぞれ負けたので、まあそこは概ねしょうがない。

 らっしゅが最終戦、チームの勝敗が掛かった3本目にクアドラプルマリガンしたことも、誰の責任でもない話だ。

 『英雄的』の組みようがないプールでテンパったのも敗因の一端ではあるだろう。

 だが、それでも。

 俺たちは神を恨まずにはいられなかった。

 これだけ練習して、どうして本番でこんなパックを掴まされるのか。

 知り合いのチームは大体2日目に残っていた。それはすなわち、この環境が少々のプール差ごときでは勝敗が左右されない、3つのデッキの組み方とリミテッドのゲームセンスだけでほとんど勝負が決まる圧倒的な練習ゲー実力ゲーであったことを示している。

 だからこそ俺たちは確信していたのだ。「普通のプールさえもらえれば、絶対に勝てる」と。

 「普通のプールさえもらえれば」。

 それは過ぎた願いだったのだろうか。

 いずれにせよ俺たちのグランプリ京都はこの日で終わった。

 宿に帰ると、3人が3人ともやり切れぬ思いを抱えたまま布団にもぐった。

 行き場を失った熱量は、長い長い3つのため息となって天井の闇に吸い込まれていった。

 

◆グランプリ二日目(日曜日)

 このままではさすがに気が収まらないので、スーパーサンデーシリーズ予選のシールド部門に出場。

 128人7回戦で、スイスラウンドの上位4人が決勝ドラフトへ進める。


2 《前兆語り/Omenspeaker(THS)》
1 《蒸気の精/Vaporkin(THS)》
1 《葉冠のドライアド/Leafcrown Dryad(THS)》
1 《乳白色の一角獣/Opaline Unicorn(THS)》
1 《エイスリオスの学者/Scholar of Athreos(THS)》
1 《波濤砕きのトリトン/Wavecrash Triton(THS)》
1 《雨雲のナイアード/Nimbus Naiad(THS)》
1 《ナイレアの信奉者/Nylea’s Disciple(THS)》
1 《タッサの使者/Thassa’s Emissary(THS)》
1 《セテッサの英雄、アンソーザ/Anthousa, Setessan Hero(THS)》
1 《ネシアンのアスプ/Nessian Asp(THS)》
2 《先見のキマイラ/Prescient Chimera(THS)》
1 《定命の者の宿敵/Nemesis of Mortals(THS)》
1 《旅行者の護符/Traveler’s Amulet(THS)》
1 《ナイレアの存在/Nylea’s Presence(THS)》
1 《阻まれた希望/Stymied Hopes(THS)》
1 《こそ泥の兜/Prowler’s Helm(THS)》
1 《解消の光/Ray of Dissolution(THS)》
1 《食餌の時間/Time to Feed(THS)》
1 《捕海/Griptide(THS)》
1 《職工の悲しみ/Artisan’s Sorrow(THS)》
1 《神聖なる評決/Divine Verdict(THS)》
7 《森/Forest(M14)》
6 《島/Island(M14)》
1 《欺瞞の神殿/Temple of Deceit(THS)》
1 《静寂の神殿/Temple of Silence(THS)》
1 《平地/Plains(M14)》


 まあ普通レベルのデッキ。サイドに《反論/Gainsay(PLS)》《無効/Annul(MRD)》《記憶の壁/Mnemonic Wall(THS)》《異端の輝き/Glare of Heresy(THS)》《今わの際/Last Breath(THS)》とか。

 結果は、

〇〇〇〇×〇×

 で最終戦勝てば半分くらいトップ4残れるというところでまたしてもバブル負け。

 6回戦まではサイドボードを駆使してうまく立ち回ったが、最終戦の相手は誤魔化しのきかないレベルの普通に強い青緑で、《旅するサテュロス/Voyaging Satyr(THS)》《地平線のキマイラ/Horizon Chimera(THS)》《海神の復讐/Sea God’s Revenge(THS)》の差で綺麗に負けた。

 まあそれ自体はデッキパワーの限界もあり何も後悔するところはないのだが、初日がバブル負けだったこともあって、あと一歩症候群が精神的に堪えた。

 総じて徒労なグランプリだったけど、プロツアーは頑張ろう。


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 Today’s tune

 重音テト「S.A.S」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm21344576

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