前々回のエントリで『RoE×3ドラフトでは白緑バニラというアーキタイプが強い』と書いたが、正確ではなかった。
何色であろうと、ビートダウンが強いのだ。
いや、これも正確ではない。
『少なくとも現時点では』どの色の組み合わせであっても積極的にビートダウンを狙いにいく戦略は有効と思われる・・・こんなところだろう。
その理由は、圧倒的なカードの安さにある。
しかし何故カードが安いのか?と考えると、根底にあるのは『3分の2以上(当社比)のプレイヤーが頑固なコントロール意識を持ってドラフトに臨んでいる』ということであるように思われる。
コントロール意識・・・ピック中に除去やカウンターで相手のあらゆる種類の(レアであろうと!)脅威に対処できるデッキを完成形に見据えること・・・を持ってドラフトに臨むこと自体は悪くない。この環境のコモンの半数は確かに、防衛持ちであったり、強力な無色8マナのフィニッシャーであったり、0/4の《無政府主義者/Anarchist(EXO)》だったりとコントロール向きであることは事実である。
しかしもう半分は、通常の環境と同じく、健全なマナカーブを形成するためのクリーチャー、ジャイグロ、そして族霊鎧のおかげでいつもの何倍も強いオーラであり、すなわちビートダウン向けのカードなのだ。
ということは、『俺は《記憶の壁/Mnemonic Wall(ROE)》で《よろめきショック/Staggershock(ROE)》とか《血の復讐/Vendetta(ROE)》とか拾うのが好きだから』とどんなに思っていても、3-0するためにはビートダウンをやらざるをえないはずの席次が8回やったら最低2回(当社比)はまわってくるはずなのである。
ところが、俺の場合Eternal Dreamでピックしていても半数どころか7割以上がビートダウン(それも強力な)になる。もちろん好みの問題もあるだろう。だが、これだけ俺にお鉢が回ってくるというのは、本来ビートダウンを組める席に座っている人々が無理にデッキをコントロールにしようとしているとしか思えない。
ドラフトはニッチ(隙間)を目指すと勝手にカードが集まるように出来ているので、空いている色をやることはもちろん、7人がコントロールを組みたがっているならば自分はビートダウンを目指した方がよい。ビートダウンとコントロールが同数だとコントロールの方が強い場合が多いので、適正人数はビートダウン3:コントロール5といったところだろうか。
だから逆にビートダウン組みたがりがあまり増えすぎても困るのである。冒頭で『少なくとも現時点では』という限定を付したのはそういう意味だ。
ビートダウンが高いならコントロールを、コントロールが混んでいればビートダウンを、臨機応変に目指すところを変えられるならば、アベレージ2-1以上を目指せるだろう。
さて、問題はどうやってビートダウンを組むか、である。
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実は現時点においても、RoEドラフトに臨むほとんどの人があらかじめ意識しているだろうビートダウンのアーキタイプがある。青白レベルアップ(青黒でもよい)がそれだ。
しかしよく考えてみると、低マナのレベルアッパーを多数投入すると序盤はクロックを増やすのに常にマナを要求され、ビートダウンとしての最低クロック(2マナ2/2、3マナ2/2)を用意することすらままならない場合が多いのである。
もちろん《敬慕される教師/Venerated Teacher(ROE)》絡みの爆発力は別としても、青白レベルアップはビートダウンとしてはむしろ遅い部類に入ると言っていい。生物のサイズは平均的に小さく、青と白という色の組み合わせの性質上防御的なスペルが多くなりがちで、回避能力は豊富に有するものの、キルターンでいえばそこまで早くはないからだ。
であれば、もっとキルターンを早くするにはどうすればいいか。簡単だ。レベルアップしなければいい。つまり、バニラだ(ここでは『レベルアップしないとバニラ以下』の生物と比較している。《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven(ROE)》など素でバニラ性能があるカードはもちろん文句なしに強い)。
例えば卓に他に青白がいたとしても、彼らが《栄光の探求者/Glory Seeker(ROE)》をデッキに入れるためにピックするかは微妙なラインだ。となればこちらはバニラ、あちらはレベルアッパーで住み分けが可能なのだ(さすがに青白二色被りは無理だろうが)。
必然、バニラ生物の性能が高い色を選ぶことになる。断トツでオススメなのは緑だ。既に紹介した緑白の他にも、緑黒、緑赤、緑青、すべての組み合わせで強力なビートダウンを組むことが可能だ。
逆に、青がもっともビートダウンに不向きであることは言うまでもない。だが、レベルアップがそうであるように、青でビートダウンを組むことも不可能ではない。
今俺が作った、良いビートダウンデッキを組むための目安となる条件がいくつかある。
1つ、2マナ圏がマナカーブの頂点であり、6枚程度の生物を確保すること。2マナ圏はマリガン判断の肝であり、オーラをつけるにせよ何にせよダメージレースを有利に運ぶ最大のチャンスだからだ。特にレベルアッパーは(《ハリマーの波見張り/Halimar Wavewatch(ROE)》を除いて)2マナのバニラと即座にコンバットできる可能性が低いので、後手でもテンポをとれる。理想的なのは『2マナ域に《血の復讐/Vendetta(ROE)》《炎の斬りつけ/Flame Slash(ROE)》を撃つのが(神の視点では)正解プレイング』という展開になることで、そのためには2マナ域の確保は欠かせない。
各色でコモンの2マナ以下の生物は(防衛持ちを除き)何種類いるだろうか?ということを考えると、2マナ域を2色のデッキが6枚もピックするには相応の点数付けが必要となる。メインカラーの2マナ域は場合によっては除去より優先するといった微妙な判断が必要になる。
もちろん2マナ域に気を払うだけでなく、3マナ域、4マナ域とゆるやかに減少するようなマナカーブを考えるのも忘れずに。
2つ目、デッキ全体でタフネス1の割合が10パーセントを切ること。これは《減縮/Shrivel(ROE)》《炎の覆い/Wrap in Flames(ROE)》《産卵の息/Spawning Breath(ROE)》といった安いカードで簡単に捌かれないためである。あるいは《海門の神官/Sea Gate Oracle(ROE)》とコンバットして討ち取られるような生物に用はないということだ(残念ながら《よろめきショック/Staggershock(ROE)》まではケアできない。開き直りというやつだ)。
だが何事にも例外がある。まずレベルアップ持ちは1/1のままでいるターンがそう多くないし、多数展開しないことである程度のケアも可能だ。《勇者のドレイク/Champion’s Drake(ROE)》もレベル3を用意してから出せば4/4である。何より冷静に10パーセント以下とかまず不可能な場合が多いだろう。ただし上記のタフ1対策カードはできる限り必死にカットする必要がある。
そして赤黒ビート。《略奪の爆撃/Raid Bombardment(ROE)》をキーカードとするこのアーキタイプだけは、上記三種のタフ1メタカードを積極的に自分でピックするということもあるが、10パーセント条件を満たせなくとも良い。逆に緑絡みなら(タフ1の生物とかいないので)大抵はクリアできるだろう。
3つ目、スペルはできるだけ軽くし、2回行動できるターンを増やすこと。展開+除去、展開+強化がテンポをとる秘訣だ。
ただし、除去を除いた補助スペルの点数は基本的に生物より低い。カードの安さを見越してこそのビートダウンなので、スペルは何でもいいと割り切ったピックも必要だ。
おまけとして・・・生物:それ以外のスペル:土地が16:7:17の割合が理想的だ。また、可能な限りタッチはしない方がいい。
◇
構築戦にメタゲームがあるように、リミテッドにもメタゲームがある。
いよいよ今週末に迫ったプロツアーサンファン。そこではどんなドラフトが展開されるのだろうか。
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・・・という妄想をしながら夢屋にてTNMドラフトに参加。16人参加で8-8の2卓。俺は数字が小さい方。
1-1 《地獄彫りの悪魔/Hellcarver Demon(ROE)》流して《無傷の発現/Emerge Unscathed(ROE)》
1-2 《敬慕される教師/Venerated Teacher(ROE)》流して《岸壁安息所の騎士/Knight of Cliffhaven(ROE)》
1-3 《探検家タクタク/Tuktuk the Explorer(ROE)》(《空見張りの達人/Skywatcher Adept(ROE)》と《敬慕される教師/Venerated Teacher(ROE)》流し)
1-4 《窯の悪鬼/Kiln Fiend(ROE)》(多分《家畜化/Domestication(ROE)》流した)
1-5 《産卵の息/Spawning Breath(ROE)》1-2以降白いカード全く見ないので白は諦め気味。あと青がだだ流れだけど1-3も1-4も青いカード流してて仕方なし。
1-6 《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid(ROE)》
1-7 《踏みつけの仔/Stomper Cub(ROE)》
1-8 《蛇の陰影/Snake Umbra(ROE)》で赤緑かなーって感じ。
2-1 《炎の斬りつけ/Flame Slash(ROE)》流して《よろめきショック/Staggershock(ROE)》。悪鬼が重なるのに期待+火力として。
3-1 《グロータグの包囲抜け/Grotag Siege-Runner(ROE)》2マナ足りなかった。
3-2 本当に取るものなくて《族霊導きの鹿羚羊/Totem-Guide Hartebeest(ROE)》。なぜか上家と被ってるっぽい。
2《爆発的天啓/Explosive Revelation(ROE)》
1《踏みつけの仔/Stomper Cub(ROE)》
1《オンドゥの巨人/Ondu Giant(ROE)》
1《野心の発動者/Wildheart Invoker(ROE)》
1《ラガークトカゲ/Lagac Lizard(ROE)》
1《オーラのナーリッド/Aura Gnarlid(ROE)》
1《短刀背のバジリスク/Daggerback Basilisk(ROE)》
1《探検家タクタク/Tuktuk the Explorer(ROE)》
1《ムル・ダヤの媒介者/Mul Daya Channelers(ROE)》
1《茨噛み付き/Bramblesnap(ROE)》
2《窯の悪鬼/Kiln Fiend(ROE)》
1《ルーンの苦役者/Runed Servitor(ROE)》
1《グロータグの包囲抜け/Grotag Siege-Runner(ROE)》
1《巣の侵略者/Nest Invader(ROE)》
1《よろめきショック/Staggershock(ROE)》
1《戦いへの欲望/Lust for War(ROE)》
1《蛇の陰影/Snake Umbra(ROE)》
1《産卵の息/Spawning Breath(ROE)》
1《餌食の復讐/Prey’s Vengeance(ROE)》
1《二股の稲妻/Forked Bolt(ROE)》
1《抑え難い餌食/Irresistible Prey(ROE)》
9《森/Forest(ROE)》
8《山/Mountain(ROE)》
《爆発的天啓/Explosive Revelation(ROE)》はスペルだけどイメージ的にはこんな感じ。デッキとしてはまあまあかな。2マナ圏、マナカーブ、スペルの軽さも良し。生物の枚数が足りないが、打点の足りなさを本体火力プランが補っている。
◇
第一回戦 VS赤黒緑(上家) 2-0
一戦目 相手ダブマリで《絶望の誘導/Induce Despair(ROE)》撃たれたけど普通に押し切る。
二戦目 《窯の悪鬼/Kiln Fiend(ROE)》が強すぎて勝ち。
第二回戦 VS赤白(上上家) 0-2
一戦目 先手ワンマリ、山森キープして3枚目の土地全然引けなくて《戦いへの欲望/Lust for War(ROE)》つけるのが遅れ、おまけにデッキに5枚の火力も引けずあと1点削れなくて負け。
二戦目 ヌルキープして相手たくさんプレイミスしてくれたけど負け。ビートダウン使い失格や・・・
第三回戦 VS青黒 2-0
一戦目、二戦目ともに相性的に勝ち。
◇
勝ち-負け-勝ちで3位。
《栄光の探求者/Glory Seeker(ROE)》に続いて《ラガークトカゲ/Lagac Lizard(ROE)》まで使いこなしてしまった。
コントロールが《ジュワー島の小走り/Jwari Scuttler(ROE)》を使ってバニラビートを捌きだす日は近い。
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Today’s tune
茶太「anemotaxis」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm9984020
コメント
そんなわけねーだろw
コントロール脳で駆け出しビートダウナーの僕ではありますが、試してみます!
サイドインとか舐めてるのか!ラガーク様はメインだろ!
>bun
健闘を祈ります!