PWC-157th-

　時はシャドウムーア解禁直前。

　キスキンの名をメタゲームの歴史に刻み込むため戦う、一人のビートダウナーがいた。

　無謀な挑戦と人は笑う。

　明らかに勝つためのマジックではない。にも関わらず勝利のみを追求し続ける自己矛盾。一回でもプレイングミスをすれば運に見放され、二度と流れを取り戻せなくなるほどのカードパワーの低さで、しかし常に優勝を確信して臨む。

　その背理に、酔いしれる。

　そう、俺はレジスタンス。権力（カードパワー）の敵、体制（メタゲーム）の敵。なればこそキスキン。

　そして閉塞感をぶち破る銀弾・・・のはずだった。

　度重なる敗北。もはや一刻の猶予もないというのに足踏みを続けているこの事態を重く見て、俺は再びデッキの妄想改革に乗り出した。

　それは、《補強/Fortify(TSP)》が銀弾にしておくにはもったいないくらい強いのではないか、という疑問に端を発する。

　ここでFortifyを増量することで、「どうせ1枚刺しだろ」とケアしないところに高確率で突き刺さる、これこそがまさしく銀弾。そう、1枚刺しは所詮単なる布石に過ぎなかった。真の銀弾キスキンを完成させるための。

　となればFortifyと相性のいい《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》をも増量し、合わせて土地も増やすことで、真の銀弾キスキンがあっさり完成を見た。姿形は変わっても一目でわかる。これは一撃で相手を葬り去るシルバーバレットの塊なんだと・・・


　『Final Kithkin』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》
3《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
2《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
2《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
14《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
4《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
1《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》
3《変わり谷/Mutavault(MOR)》

2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
4《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
3《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》

　こ、これが銀弾・・・？1枚刺しはたったの1枚に減って、妄言もいい加減にしろよと言いたくもなる。

　だが否、銀弾の精神はジョースターの血統にちゃんと受け継がれている。

　一撃必殺。＋2／＋0で駆け抜ける。

　参加者85名、スイスドロー7回戦。

　後悔のない戦いをしよう。つまりは7−0だ。

第一回戦　VS緑黒エルフ　　　　　　　　　　2−1
一戦目　先手で、相手《名も無き転置/Nameless Inversion(LRW)》→《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》＋《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》と動かれてこれは安定クロックの《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》抜かれてきついなーと思ったら何故か抜かれなかったので2枚目の転置持ってるのかーと思いつつも出したら普通に殴れて、後から引いてきたサルプリ追加してセラアベは《不敬の命令/Profane Command(LRW)》で対処されるもサルプリが除去られなくて勝ち。
In
4《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
2《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
Out
2《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
二戦目　後手で土地が《変わり谷/Mutavault(MOR)》含む初期手札にあった2枚で止まり、片や相手は《ラノワールのエルフ/Llanowar Elves(10E)》→《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》＋《ボリアルのドルイド/Boreal Druid(CSP)》→3ターン目《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》という良展開。《変わり谷/Mutavault(MOR)》と合わせてビートされて万事休す。
三戦目　相手ワンマリで2ターン目《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》、こちら《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》→《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》→《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》＋《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》のぶん回り。相手は黒マナが引けてなくて3ターン目は1／2タルモでゴーだったのでそのまま押し切る。

第二回戦　VS青白コン＋モーフ　　　　　　　1−1−1
一戦目　先手で重鎮→皺（3点）→皺に《ルーンのほつれ/Rune Snag(CSP)》を《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》（7点）→ブロッカーのモーフを《太陽の槍/Sunlance(PLC)》して10点で4キル。
In
3《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
Out
2《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
1《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
二戦目　《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》を通して《変わり谷/Mutavault(MOR)》と合わせてビートするプラン。《砂漠/Desert(TSB)》2枚置かれているところに谷とトークンでアタックして《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》でスタック前にパンプし忘れて1点削り損ね、そのせいで相手に粘りを許してしまい、残り8分になったところで時間もったいないので投了。でもよく考えたら相手フィニッシャー引けてないんだから残り8分粘って1−0−1で勝ちを目指した方がよかったかもしれない。
In
2《補強/Fortify(TSP)》
Out
1《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
1《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
三戦目　重鎮メドウグレインスタートだったのだが《糾弾/Condemn(10E)》2枚と《テフェリーの濠/Teferi’s Moat(TSB)》を越えられるはずもなく追加5ターンに入って引き分け。

第三回戦　VS赤黒ゴブリン《分かち合う憎しみ/Shared Animosity(MOR)》型　2−0
一戦目　先手で1マナ域がなくてワンマリ後、《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》2枚引いて《太陽の槍/Sunlance(PLC)》で《チューパイくすね/Squeaking Pie Sneak(LRW)》を除去りつつ《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》とか出して勝ち。
In
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
Out
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
二戦目　相手の土地が2枚で止まって勝ち。

第四回戦　VS青黒赤ハーコンリアニ　　　　　　　　1−2
一戦目　先手。相手のセットが島沼だったので十分なクロックもあるし《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》ケアして3ターン目に余った1マナで《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》も《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》も出さないでゴーしたら4ターン目に《滅び/Damnation(PLC)》食らって1点削れなくて負け。
In
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
Out
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
2《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
二戦目　プロテクション3以上＋スピリン＋飛行の《石塚の放浪者/Cairn Wanderer(LRW)》が誕生するが《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》でなんとかダメージレースして相手8マナから《入念な研究/Careful Study(ODY)》→《滅び/Damnation(PLC)》を《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》して勝ち。
三戦目　《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》引けなくてスピリン石塚に撲殺される。

第五回戦　VS青白赤ジョイタイム　　　　　　　2−1
一戦目　相手先手ワンマリで《冠雪の山/Snow-Covered Mountain(CSP)》から《大いなるガルガドン/Greater Gargadon(TSP)》を2ターン連続で待機するだけ。さらには《真髄の針/Pithing Needle(SOK)》で《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》を指定される。さすがに普通に撲殺。
In
1《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
4《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
Out
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
1《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
（上の4枚しか見てないのでデッキがわからず、とりあえず赤系統前提でサイドしてみた。でもだとしたら針はねーよなぁ）
二戦目　3ターン目に島平地山から《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher(PLC)》という真の姿を見せつけられて圧敗。
In
4《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
Out
2《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
1《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
4《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
2《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
三戦目　ぶん回って勝ち。

第六回戦　VS青白ヒバリ　　　　　　　　　　2−1
一戦目　後手。相手の引きがぬるめでまったり撲殺。
In
3《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
2《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
1《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
Out
2《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
1《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
2《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
1《補強/Fortify(TSP)》
二戦目　《神の怒り/Wrath of God(10E)》と《造物の学者、ヴェンセール/Venser， Shaper Savant(FUT)》で圧敗。
In
1《補強/Fortify(TSP)》
Out
1《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
三戦目　相手が《精神石/Mind Stone(10E)》含む4マナで止まってくれたので《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》構えてるこちらに対し《神の怒り/Wrath of God(10E)》が撃てなくて、返しで《補強/Fortify(TSP)》で勝ち。

第七回戦　VS青黒フェアリー　　　　　　　　　2−1
一戦目　先手で4ターン目に手札使いきって生物全展開のぶん回りで勝ち。
In
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
3《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
1《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
Out
2《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》
3《補強/Fortify(TSP)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
二戦目　《霧縛りの徒党/Mistbind Clique(LRW)》に殴られて《謎めいた命令/Cryptic Command(LRW)》でようやく引いてきたタッパー寝かされてgg。
In
1《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
2《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
Out
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
三戦目　《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite(LRW)》をひたすらケアしながらプレイングして《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》と《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》を通して勝ち。

　・・・5−1−1で6位入賞。またも7−0は叶わなかった。そしてこれが最後の機会だったのだ。

　シャドウムーアでキスキンに入りそうなカードはほとんどない。それはすなわちこのアーキタイプの死を意味する。

　もはや意地を張ってキスキンを使い続けても勝つのは難しい。だから・・・さようなら、だ。

　銀弾の精神は、俺の心に刻まれた。

　だがもしシャドウムーア後に気の利いたデッキがなかったら、その時は・・・

　いずれにせよシャドウムーアが何をもたらすのか、それは誰もが知る由もないこと。この先には未踏の領域が待ち受けている。

　さあ、新たな環境へ駒を進めよう。

　　　　　　　　　　　　　Go to the next stage!!→


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　Today’s tune

　初音ミク「カナリア」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm3058351