PWC-153rd-(Final)?
2008年3月23日 読書 コメント (1)ISBN:4088774140 コミック 柴田 ヨクサル 集英社 2008/03/19 ¥530
3月。それは節目であり、一年の終わりと新たな一年の始まりを予感させる。
名実ともに関東草の根の最高峰であるPWCも今、一つの区切りを迎えた。
PWCFinal・・・通常のスイスドローラウンドの後に、独自のポイントランキングで選出されたトップ8シングルエリミを控えたこの大会。そのお祭り感はかつてのLoMのようである。
だが一方で、これはれっきとした公認大会であり、トップ8に関係のない人にとっては、賞品圏内であるトップ50以内に入りまた少しでも順位を上げるチャンスでもある。その意味で、この場はGPTやPTQと何ら変わらない真剣勝負の舞台。たとえ草の根であろうと、負けるのが好きな人間はここにはいない。良くも悪くも、普段と変わらないPWCがそこにはある。
でも、俺は何のためにここにいるんだろう?俺のPWCポイントランキングは35位。ナベやシミチンたちのように、国内GP交通費、あるいはそれ以上の名誉がかかった戦いが待っているわけでもない。GP静岡も終わった今、この環境のスタンダードの練習が役に立つ機会もない。そうである以上、あえて参加する意味もないのではないか。現に、PWCランキングにそれほど熱を上げていないらっしゅは不参加という選択をしたようである。
なら、何故俺は息を切らしながら9時55分に会場入りし、必死にデッキリストを埋めているのか。その答えは一つ。まだやり残したことがあるからだ。
二週間前、グランプリ静岡。
「最強のキスキンを作る」
そう言いつつもろくに一人回しもせず、メイン《ハリケーン/Hurricane(10E)》など小手先の技術に頼っては迷走。その結果はどうだ。初日4−3ドロップ。不甲斐ない。その原因は何か?キスキンを選択したことか。いや違う。そうではなかった。俺の心が、弱かったから。キスキンを信じる心が足りなかったから。火を見るより明らかなことだった。
一年前、グランプリ京都の時。メイン《硫黄の精霊/Sulfur Elemental(PLC)》がソリューションという圧倒的逆風の中で、しかし俺はボロスを駆り二日目に残った。あの時の俺はボロスを使ってさえいれば負ける気はしなかった。ボロスを信じていたからだ。だが静岡の時は違った。キスキンなんて弱い、勝てるわけがないと半ば諦めていた。今ならわかる。静岡で俺は、自分の心の弱さをキスキンの弱さにすりかえて言い訳にしていたんだ。俺が、キスキンを信じてさえいれば。せめて二日目に残るくらいはできたはずだ。
俺がやり残したこと。それは今再び最強のキスキンを作り、風となり駆け抜けること。そして神になることだ。そうして初めて、俺はこの一年に区切りをつけることができる。他の誰のためでもない、俺の俺による俺のためのFinal。俺がガンダム、いやキスキンだ。
そうは言っても、静岡前に完成していなかったものが今になって突然完成するはずもない。あるいは最強のキスキンなんて存在しないかもしれない。時は無情にも過ぎていき、PWCFinal前日。それでも最強のキスキンだけを求め、俺は再び一人回しの旅に出るのであった。
まず俺が注目したのは、《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》だった。グランプリ静岡で樽元気氏が9位に入った赤バーン、それには《針落とし/Needle Drop(LRW)》が4枚入っていたことを思い出していただきたい。1マナ1点キャントリップ、ダメージ効率は決して高くはないが、デッキの潤滑油にして彼の赤バーンになくてはならない必須パーツだった。そして《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》もキャントリップ、この符号・・・
いやいやしかしうねりは2マナ、潤滑油にしてはテンポを損なう可能性が高い。ならばいっそ《バリラシュの旗騎士/Ballyrush Banneret(MOR)》で軽くして・・・だが冷静に考えてうねりの他に旗騎士の恩恵が受けられそうなカードはキスキンにはいなかった。それにそのために旗騎士のような生物性能が灰色熊以前のカードを入れるのは本末転倒ではないか?
まぁさすがに旗騎士はないにしても、うねりが本当にダメなのか、実際にデッキを組んでみて一人回しでテストしてから判断するとしよう。
『テストデッキA』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》
2《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
4《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
4《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
4《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》
12《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
1《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》
4《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《変わり谷/Mutavault(MOR)》
30−8−22はかなり思い切った形だが、テストデッキとしてはこれくらいわかりやすい方が問題点がはっきりしていいだろう。そういえば静岡の時も29−8−23とあまり変わらないバランスだった。そのバランスからの進化を望むのだから、その意味でもテストデッキにうってつけと言える。
感想としては・・・
1.さすがにスペルが二種類だと動きが単調すぎる。また《太陽の槍/Sunlance(PLC)》はともかくマナカーブ的にこちらのスペルの「切り札」となるのが《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》ではカードパワーの面でも問題がある。最低でも3種類のスペル、しかもそのうち1種類はカードパワー的には「切り札」と呼べるレベルにする要請があると考える。
2.それに樽元気氏の赤バーンが《針落とし/Needle Drop(LRW)》のキャントリップを計算に入れて3枚の《変わり谷/Mutavault(MOR)》含む土地22枚で成り立っていることを踏まえ、うねりというキャントリップを搭載したことにより同様の理屈で土地を22枚に減らせるだろうと考えたが、どうにも土地が止まって不愉快な思いをすることが多かった。2マナのカードを潤滑油と捉えるのはいささか無理があったという証拠だろう。また白マナも20枚では足りないと感じたので、23枚目に白マナの出る土地を追加する要請があると考える。
3.スペルを増やす要請、土地を増やす要請があって、必然的にクリーチャー枠を圧迫することになるが、現状の1マナ域14枚体制は非常にいい感触であり、なるべくならここには手をつけたくない。とすれば2マナ域のキスキンは削れない以上、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》の回避能力8枚体制の方をいじることになりそうだが、カードパワーでは《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》の方が強いとはいえ、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》は2マナ圏の追加という役割も担っている。安直にどちらか1スロットを削りどちらかを残すというようなことはするべきではないだろう。
こういった試行錯誤、いや思考錯誤を経て、カードを1枚ずつ入れ替えながら、キスキンの刃は少しずつ、ほんのわずかずつでも着実に、研ぎ澄まされていった。
そうして夜中の二時をまわるころ、遂にある形・・・いやもはや一つの『型』とも言うべき、極意にたどりついた。
それがキスキン無双の型、銀弾キスキンである。
『だらだらMTG』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》
2《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
1《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
1《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》
1《混迷の挽回/Redeem the Lost(MOR)》
1《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
1《補強/Fortify(TSP)》
1《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
1《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
12《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
4《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》
2《変わり谷/Mutavault(MOR)》
3《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
1《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
1《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract(LRW)》
1《永遠からの引き抜き/Pull from Eternity(TSP)》
1《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
1《不愉快の拒絶/Rebuff the Wicked(PLC)》
「またおかしなことを言い出したぞ」と侮ることなかれ。このデッキを数回一人回ししてもらえばわかると思うが、天にも昇る心地よさである。
しかも、それだけではない。1→2と軽やかに展開した後、突如として銀弾が相手のゲームプランを一気に崩壊させる。相手の想像をはるか超えた、実に8種類ものスペルの競演。サイドボード後まで見据えた、追加の銀弾4種類。さらに必要に応じて《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》と《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》の枚数を増やすことも可能。ブラーヴォ・・・まさしくブラーヴォ!!
でも、ちょっと待ってくれ。銀弾銀弾と言っても、それを本当に効果的な場面で引いてこれなければ単なるカオスではないのか?もちろん俺はライブラリの順番が透視できるわけでもなければシャッフル時にライブラリトップに載せるカードを操作できるわけでもないし、それはもはやゲームではない。とすると《吸血の教示者/Vampiric Tutor(6ED)》なくしてその理想は達成しえない、キスキン無双は単なるキスキン夢想に終わってしまうのではないか?
ノン。だがノンだ。バンチューが必要・・・そう考える時点で銀弾キスキンを大きく見誤っているといわざるをえない。たとえば《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》と《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》。たとえば《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》と《混迷の挽回/Redeem the Lost(MOR)》。これらは「縦のライン」だ。そして《太陽の槍/Sunlance(PLC)》と《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》。《補強/Fortify(TSP)》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》。これらは「横のライン」である。おわかりだろうか。
要するに、それぞれ別個の局面で役に立つような本来の意味での銀弾がバラバラに積まれているようでいて、一つ一つのカードのマナ域とカード効果のベクトルが相互に補完しあい、実質的にカードスロットを増やしているのである。銀弾にして銀弾にあらず・・・護身完成。そりゃ悪手だろ、蟻んコ。砂漠の砂粒・・・ひとつほども後悔はしていない。手牌すべてが当たり牌−−−!!
もう何も言うことはない。もしこのデッキを使いたいと思ったなら(いないと思うけど)、スペル選択については各自検討してみて欲しい。キスキンには無限の顔があり、今広大な地平線がキスキンの前に広がっている。どこへだって行ける、そう・・・《心霊破/Psionic Blast(TSB)》でも・・・《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》でも・・・《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation(TSP)》でも・・・1枚差しなら、大きくマナバランスを損なうこともない。これが究極。これが求めていた、最強だ。
参加者110名、スイスドロー7回戦。今まで本気で口にしてはいなかったが・・・今日こそは。
7−0まで、駆け抜けるッッッ!!!
?へ続く→
3月。それは節目であり、一年の終わりと新たな一年の始まりを予感させる。
名実ともに関東草の根の最高峰であるPWCも今、一つの区切りを迎えた。
PWCFinal・・・通常のスイスドローラウンドの後に、独自のポイントランキングで選出されたトップ8シングルエリミを控えたこの大会。そのお祭り感はかつてのLoMのようである。
だが一方で、これはれっきとした公認大会であり、トップ8に関係のない人にとっては、賞品圏内であるトップ50以内に入りまた少しでも順位を上げるチャンスでもある。その意味で、この場はGPTやPTQと何ら変わらない真剣勝負の舞台。たとえ草の根であろうと、負けるのが好きな人間はここにはいない。良くも悪くも、普段と変わらないPWCがそこにはある。
でも、俺は何のためにここにいるんだろう?俺のPWCポイントランキングは35位。ナベやシミチンたちのように、国内GP交通費、あるいはそれ以上の名誉がかかった戦いが待っているわけでもない。GP静岡も終わった今、この環境のスタンダードの練習が役に立つ機会もない。そうである以上、あえて参加する意味もないのではないか。現に、PWCランキングにそれほど熱を上げていないらっしゅは不参加という選択をしたようである。
なら、何故俺は息を切らしながら9時55分に会場入りし、必死にデッキリストを埋めているのか。その答えは一つ。まだやり残したことがあるからだ。
二週間前、グランプリ静岡。
「最強のキスキンを作る」
そう言いつつもろくに一人回しもせず、メイン《ハリケーン/Hurricane(10E)》など小手先の技術に頼っては迷走。その結果はどうだ。初日4−3ドロップ。不甲斐ない。その原因は何か?キスキンを選択したことか。いや違う。そうではなかった。俺の心が、弱かったから。キスキンを信じる心が足りなかったから。火を見るより明らかなことだった。
一年前、グランプリ京都の時。メイン《硫黄の精霊/Sulfur Elemental(PLC)》がソリューションという圧倒的逆風の中で、しかし俺はボロスを駆り二日目に残った。あの時の俺はボロスを使ってさえいれば負ける気はしなかった。ボロスを信じていたからだ。だが静岡の時は違った。キスキンなんて弱い、勝てるわけがないと半ば諦めていた。今ならわかる。静岡で俺は、自分の心の弱さをキスキンの弱さにすりかえて言い訳にしていたんだ。俺が、キスキンを信じてさえいれば。せめて二日目に残るくらいはできたはずだ。
俺がやり残したこと。それは今再び最強のキスキンを作り、風となり駆け抜けること。そして神になることだ。そうして初めて、俺はこの一年に区切りをつけることができる。他の誰のためでもない、俺の俺による俺のためのFinal。俺がガンダム、いやキスキンだ。
そうは言っても、静岡前に完成していなかったものが今になって突然完成するはずもない。あるいは最強のキスキンなんて存在しないかもしれない。時は無情にも過ぎていき、PWCFinal前日。それでも最強のキスキンだけを求め、俺は再び一人回しの旅に出るのであった。
まず俺が注目したのは、《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》だった。グランプリ静岡で樽元気氏が9位に入った赤バーン、それには《針落とし/Needle Drop(LRW)》が4枚入っていたことを思い出していただきたい。1マナ1点キャントリップ、ダメージ効率は決して高くはないが、デッキの潤滑油にして彼の赤バーンになくてはならない必須パーツだった。そして《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》もキャントリップ、この符号・・・
いやいやしかしうねりは2マナ、潤滑油にしてはテンポを損なう可能性が高い。ならばいっそ《バリラシュの旗騎士/Ballyrush Banneret(MOR)》で軽くして・・・だが冷静に考えてうねりの他に旗騎士の恩恵が受けられそうなカードはキスキンにはいなかった。それにそのために旗騎士のような生物性能が灰色熊以前のカードを入れるのは本末転倒ではないか?
まぁさすがに旗騎士はないにしても、うねりが本当にダメなのか、実際にデッキを組んでみて一人回しでテストしてから判断するとしよう。
『テストデッキA』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》
2《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
4《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
4《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
4《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》
12《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
1《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》
4《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《変わり谷/Mutavault(MOR)》
30−8−22はかなり思い切った形だが、テストデッキとしてはこれくらいわかりやすい方が問題点がはっきりしていいだろう。そういえば静岡の時も29−8−23とあまり変わらないバランスだった。そのバランスからの進化を望むのだから、その意味でもテストデッキにうってつけと言える。
感想としては・・・
1.さすがにスペルが二種類だと動きが単調すぎる。また《太陽の槍/Sunlance(PLC)》はともかくマナカーブ的にこちらのスペルの「切り札」となるのが《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》ではカードパワーの面でも問題がある。最低でも3種類のスペル、しかもそのうち1種類はカードパワー的には「切り札」と呼べるレベルにする要請があると考える。
2.それに樽元気氏の赤バーンが《針落とし/Needle Drop(LRW)》のキャントリップを計算に入れて3枚の《変わり谷/Mutavault(MOR)》含む土地22枚で成り立っていることを踏まえ、うねりというキャントリップを搭載したことにより同様の理屈で土地を22枚に減らせるだろうと考えたが、どうにも土地が止まって不愉快な思いをすることが多かった。2マナのカードを潤滑油と捉えるのはいささか無理があったという証拠だろう。また白マナも20枚では足りないと感じたので、23枚目に白マナの出る土地を追加する要請があると考える。
3.スペルを増やす要請、土地を増やす要請があって、必然的にクリーチャー枠を圧迫することになるが、現状の1マナ域14枚体制は非常にいい感触であり、なるべくならここには手をつけたくない。とすれば2マナ域のキスキンは削れない以上、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》の回避能力8枚体制の方をいじることになりそうだが、カードパワーでは《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》の方が強いとはいえ、《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》は2マナ圏の追加という役割も担っている。安直にどちらか1スロットを削りどちらかを残すというようなことはするべきではないだろう。
こういった試行錯誤、いや思考錯誤を経て、カードを1枚ずつ入れ替えながら、キスキンの刃は少しずつ、ほんのわずかずつでも着実に、研ぎ澄まされていった。
そうして夜中の二時をまわるころ、遂にある形・・・いやもはや一つの『型』とも言うべき、極意にたどりついた。
それがキスキン無双の型、銀弾キスキンである。
『だらだらMTG』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《主の戦術家/Cenn’s Tactician(MOR)》
2《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
1《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《太陽の槍/Sunlance(PLC)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
1《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》
1《混迷の挽回/Redeem the Lost(MOR)》
1《民兵団の誇り/Militia’s Pride(LRW)》
1《補強/Fortify(TSP)》
1《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
1《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
12《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
4《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》
2《変わり谷/Mutavault(MOR)》
3《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
3《薄れ馬/Wispmare(LRW)》
1《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》
1《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》
1《ツキノテブクロのエキス/Moonglove Extract(LRW)》
1《永遠からの引き抜き/Pull from Eternity(TSP)》
1《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
1《不愉快の拒絶/Rebuff the Wicked(PLC)》
「またおかしなことを言い出したぞ」と侮ることなかれ。このデッキを数回一人回ししてもらえばわかると思うが、天にも昇る心地よさである。
しかも、それだけではない。1→2と軽やかに展開した後、突如として銀弾が相手のゲームプランを一気に崩壊させる。相手の想像をはるか超えた、実に8種類ものスペルの競演。サイドボード後まで見据えた、追加の銀弾4種類。さらに必要に応じて《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》と《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》の枚数を増やすことも可能。ブラーヴォ・・・まさしくブラーヴォ!!
でも、ちょっと待ってくれ。銀弾銀弾と言っても、それを本当に効果的な場面で引いてこれなければ単なるカオスではないのか?もちろん俺はライブラリの順番が透視できるわけでもなければシャッフル時にライブラリトップに載せるカードを操作できるわけでもないし、それはもはやゲームではない。とすると《吸血の教示者/Vampiric Tutor(6ED)》なくしてその理想は達成しえない、キスキン無双は単なるキスキン夢想に終わってしまうのではないか?
ノン。だがノンだ。バンチューが必要・・・そう考える時点で銀弾キスキンを大きく見誤っているといわざるをえない。たとえば《思考の糸のうねり/Surge of Thoughtweft(LRW)》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》と《黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane(LRW)》。たとえば《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》と《混迷の挽回/Redeem the Lost(MOR)》。これらは「縦のライン」だ。そして《太陽の槍/Sunlance(PLC)》と《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》。《補強/Fortify(TSP)》と《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》。これらは「横のライン」である。おわかりだろうか。
要するに、それぞれ別個の局面で役に立つような本来の意味での銀弾がバラバラに積まれているようでいて、一つ一つのカードのマナ域とカード効果のベクトルが相互に補完しあい、実質的にカードスロットを増やしているのである。銀弾にして銀弾にあらず・・・護身完成。そりゃ悪手だろ、蟻んコ。砂漠の砂粒・・・ひとつほども後悔はしていない。手牌すべてが当たり牌−−−!!
もう何も言うことはない。もしこのデッキを使いたいと思ったなら(いないと思うけど)、スペル選択については各自検討してみて欲しい。キスキンには無限の顔があり、今広大な地平線がキスキンの前に広がっている。どこへだって行ける、そう・・・《心霊破/Psionic Blast(TSB)》でも・・・《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》でも・・・《岩石樹の祈り/Stonewood Invocation(TSP)》でも・・・1枚差しなら、大きくマナバランスを損なうこともない。これが究極。これが求めていた、最強だ。
参加者110名、スイスドロー7回戦。今まで本気で口にしてはいなかったが・・・今日こそは。
7−0まで、駆け抜けるッッッ!!!
?へ続く→
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