ISBN:4812467845 単行本 伊藤誠 竹書房 2008/01/17 ¥590











 『ZOO』というデッキがある。

 9th−神河−ラヴニカ時期に生まれたそれは、ラヴニカの強力なギルド土地の恩恵を受けて、マナベース構築にテンポを阻害されることなく緑・赤・白の1〜3マナ域の優秀な生物と最高レベルの火力を展開することができる理想のビートダウンとして環境を席巻した。

 時は流れ、10th−タイムスパイラル−ローウィン環境。ギルド土地も今はなく、《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda(CHK)》や《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(9ED)》、《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》に《番狼/Watchwolf(RAV)》といった当時のエース級クリーチャーは軒並み姿を消した。火力に目を移せば、《稲妻のらせん/Lightning Helix(RAV)》《黒焦げ/Char(RAV)》はもちろん、《溶岩の撃ち込み/Lava Spike(CHK)》すら見当たらない。ZOOに撃ち込みが入ってたかどうかは置いておくとしても、ZOOというデッキコンセプトは死んでしまったかのように思える。

 だが、ちょっと待ってくれ。ローウィンにも多色土地があるじゃないか。

 それだけじゃあない。《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda(CHK)》や《サバンナ・ライオン/Savannah Lions(9ED)》だって、《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》に《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl(LRW)》にと形を変えて帰って来た!

 ローウィンがスタンダードで使用可能になったばかりの時期、『多相ZOO』の萌芽である。


 『多相ZOO(MOR以前)』
4《エルフの小間使い/Elvish Handservant(LRW)》
4《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl(LRW)》
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》
4《森林の変わり身/Woodland Changeling(LRW)》
3《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg(LRW)》
4《鳥の変わり身/Avian Changeling(LRW)》
4《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker(LRW)》
4《ヴェリズ・ヴェルの刃/Blades of Velis Vel(LRW)》
4《外身の交換/Crib Swap(LRW)》
4《古の円形劇場/Ancient Amphitheater(LRW)》
4《カープルーザンの森/Karplusan Forest(10E)》
4《戦場の鍛冶場/Battlefield Forge(10E)》
4《低木林地/Brushland(10E)》
4《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
1《宝石鉱山/Gemstone Mine(TSB)》

 もちろんこれはほんの一例であって、ローウィンの二色土地が赤白、青黒、青白、緑黒、赤黒とあることに鑑みれば、赤黒白や青黒白、赤緑黒で多相ZOOを作る方が合理的とも考えうる。だがいずれにせよ、少なくともモーニングタイド以前は、このアーキタイプが日の目を見ることはなかった。赤緑氷雪ビッグマナやマネキンのコントロール力、さらにはビート同型でもエルフに対して、このデッキが勝る部分はなかったといってよい。


 しかしモーニングタイドが入った今ならば・・・?


 その可能性を探るためにこの日記を書いているというわけだ。こういうアーキタイプ的考察はdiarynote界においてはどこかのカバさんの仕事とメタレヴェルで相場が決まっているのだが、丁度兎の10巻も出たことだし、自分で書くことにした。何を言ってるのかわからない人はこの段落を読み飛ばしてくれて構わない。



 早速、モーニングタイドで『多相』を持っているカードがどのくらい増えたのか確認してみよう。

《変わり身の歩哨/Changeling Sentinel(MOR)》
《鱗粉の変わり身/Mothdust Changeling(MOR)》
《ツキノテブクロの変わり身/Moonglove Changeling(MOR)》
《雄牛のやっかいもの/Taurean Mauler(MOR)》
《戦釘の変わり身/War-Spike Changeling(MOR)》
《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》
《獣道の変わり身/Game-Trail Changeling(MOR)》

 この7種である。


・《変わり身の歩哨/Changeling Sentinel(MOR)》

 ワーオ!4マナ3/2警戒だ!でも《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》と比べてごらん?

・《鱗粉の変わり身/Mothdust Changeling(MOR)》

 こいつは《水流を読む者/Judge of Currents(LRW)》や《石ころ川の群れ長/Stonybrook Schoolmaster(MOR)》と恐ろしいシナジーを発揮する。え?スタンダードの話だって?いやはやこいつはなんとも・・・

・《ツキノテブクロの変わり身/Moonglove Changeling(MOR)》

 こいつは絵が《不敬の命令/Profane Command(LRW)》に似てるともっぱらの評判だ。だから何?

・《雄牛のやっかいもの/Taurean Mauler(MOR)》

 ようやく少しはまともなやつが出てきたようだ。だがトランプルも持っていないし、返しで何かされてようやく3/3か。《クウィリーオンのドライアド/Quirion Dryad(10E)》と比べてもらえばわかると思うが、こういう相手に依存するカードは大抵あまり強くない。だが他の多相があまりに不甲斐ないからこんなのでも使わざるをえないかもしれない・・・そんな事態にならなければいいのだけど・・・

・《戦釘の変わり身/War-Spike Changeling(MOR)》

 だから《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》と(ry

・《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》

 Oops!さっきからちらちら名前だけは出てきていたが、ようやくお出まし、期待のエースアタッカーだ。何せ4マナ、8点。すごいだろう?これで《変わり身の狂戦士/Changeling Berserker(LRW)》とオサラバできるってわけだね。

・《獣道の変わり身/Game-Trail Changeling(MOR)》

 ああ、もう君の出番は終わったんだ。せめて君のその素敵な能力を彼にも分けてあげられたらね・・・



 んん〜、クリーチャー陣はなんだか頼りないぞ。だがマナベースは、ローウィンでは5種類も二色土地があったんだし、今回もきっと期待できるはずだ!

《つぶやき林/Murmuring Bosk(MOR)》
《変わり谷/Mutavault(MOR)》
《原初の彼方/Primal Beyond(MOR)》
《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》

 この4種類である。


・《つぶやき林/Murmuring Bosk(MOR)》

 Great!緑、白、黒、3種類のマナを1枚で供給してくれる。ツリーフォーク?知らないね。た、そ、う、とにかく多相なんだから、なんでもかんでもアンタップインできるってわけさ!

・《変わり谷/Mutavault(MOR)》

 ヘイ、無色マナしか出ないボウヤに興味はねぇぜ。え、多相?ふーん・・・でも2/2でしょ?このカスレアめ!

・《原初の彼方/Primal Beyond(MOR)》

 マジで!?5色出しちゃっていいの!?やったぁ〜得したぜ〜。エレメンタルにしか使えない?関係ないよ、多相だもんね。でも《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》とかたまに出ないから気をつけよう。

・《ひなびた小村/Rustic Clachan(MOR)》

 ただの平地じゃん。


 モーニングタイドの土地は素晴らしい。なんたって3色土地と5色土地が加わった!これさえあれば多少の無茶も許容されるってもんだ。

 早速、進化した多相ZOOをお目にかけよう。


 『多相ZOO(MOR対応)』
4《エルフの小間使い/Elvish Handservant(LRW)》
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《炎族の刃振り/Flamekin Bladewhirl(LRW)》
4《レンの地の克服者/Wren’s Run Vanquisher(LRW)》
4《森林の変わり身/Woodland Changeling(LRW)》
2《鳥の変わり身/Avian Changeling(LRW)》
4《カメレオンの巨像/Chameleon Colossus(MOR)》
4《名も無き転置/Nameless Inversion(LRW)》
4《ヴェリズ・ヴェルの翼/Wings of Velis Vel(LRW)》
4《外身の交換/Crib Swap(LRW)》
4《光り葉の宮殿/Gilt-Leaf Palace(LRW)》
4《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《ワンダーワインの分岐点/Wanderwine Hub(LRW)》
4《古の円形劇場/Ancient Amphitheater(LRW)》
4《原初の彼方/Primal Beyond(MOR)》
4《つぶやき林/Murmuring Bosk(MOR)》
2《宝石鉱山/Gemstone Mine(TSB)》

 ・・・あれ?なんだか前より弱くなってないか?


        ・
        ・
        ・


 ・・・どうやらシャドームーアまでこのアーキタイプが日の目を見ることはなさそうだ。

 とはいえ、全然真面目に作ってないので興味がある方は一度チャレンジしてみてほしい。何せ多相ZOOはあらゆる色のすべての種族を受容する広い心を持っている。今までカスレアだと思っていた射手・ロードもこのデッキの中でなら光り輝くかもしれない。輝くわけねーだろ。

 エルフがどうだ、戦士がどうした、フェアリーがこうなったなどという微に入り細を穿つ議論はもうやめて、広大な多相の世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。


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 Today’s tune

 初音ミク「サウンド」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1583280

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