さて、白単キスキンのバージョンアップを図るにあたっては、環境の整理が必要と考えられた。

 139th、140thのPWCの結果を見る限り、プレインズウォーカー(特にガラク)の影響でビートに限らずコントロールでも生物を多様する傾向が見てとれ、またそれとは別に、ガラクだろうがなんだろうがクリーチャーのダメージで勝つプランをすべて捌ききるデッキ、白単あるいは青白コントロールというアーキタイプが登場した。

 妄想の中でのメタはこのように推移していく。

Tier1 白単キスキン 赤緑ビート 青白コントロール
Tier2 緑黒タルモガラク マーフォーク 青緑(タッチ白)マーフォーク 青黒コントロール ゴブリン ブリンク
Tier3:4CG リアニ フェアリー 青赤コントロール カヴージャスティス

      ↓
      ↓
      ↓

Tier1 緑黒タルモガラク 青緑タッチ白マーフォーク よくわからない系コントロール 青白コントロール
Tier2 カヴージャスティス 赤緑ビート ブリンク 黒単コントロール 青黒コントロール
Tier3 白単キスキン(今ここ

 よくわからない系というのは、《肥沃な大地/Fertile Ground(USG)》だったり《連合の秘宝/Coalition Relic(FUT)》だったり《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander(10E)》だったりで本当によくわからないが大体ひとくくりにしていいと思われるXCG(3CGだか4CGだか5CGだかわからないという意味で)のビッグマナ、あるいは強いカード詰め込みました系デッキのことである。大体《神の怒り/Wrath of God(10E)》か《滅び/Damnation(PLC)》かが積んであるもんだからとりあえずビートに勝ててしかもカードが強いからいつまでもデュエルが楽しめる困ったちゃんである。

 緑黒タルモガラク系も《滅び/Damnation(PLC)》を搭載した形が主流で、青白コントロールについては言うまでもないだろう。マーフォークはラスに対して多少なれど耐性があるビートダウンとしてメタの一角を占めている。

 つまるところ、メタは「キスキンなんかにゃ負けないぞ」という方向に動いていた。キスキンなんか。キスキンなんかぁ?聞き捨てならねぇな(自分で言っといて

 こうなりゃ何が何でもキスキンで勝つ!と妄想でメタを分析しながら闘志を燃やすのであった(しかしマジック的には、いや往々にして勝負事全般に言えることだが、熱くなった方の負けである





 環境の整理が終わったところで、どこをどういじるか。俺とイカ彦はメインの形にはかなりの信頼を寄せていたが、二箇所の変更を余儀なくされた。

 《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》は、しかしあまりに《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》に対して無力であり、そしてこの凶悪な殴る《恐怖/Terror(10E)》は《火葬/Incinerate(10E)》や《焦熱の裁き/Fiery Justice(TSB)》の数よりはるかに多いと予想されたので、《白き盾の十字軍/White Shield Crusader(CSP)》と入れ替わることとなった。

 また3:3の枷と輪も、輪がメインで万能すぎたために2:4に微調整された。

 だがデッキのおおまかな構成は一緒で、生物26体、スペル10枚、土地24枚のまま。

 大幅な変革をせまられるとすればサイドボードだった。




 まず対同型。調整の結果最も有効と思われるサイドボードは、

4《神の怒り/Wrath of God(10E)》+4《解呪/Disenchant(TSB)》系。



 そして対緑黒。生物主体のデッキであるにも関わらず、《護民官の道探し/Civic Wayfinder(10E)》・《仮面の称賛者/Masked Admirers(LRW)》や《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》といったCiP能力持ち、あるいは《獣群の呼び声/Call of the Herd(TSB)》や《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(LRW)》に対して、《神の怒り/Wrath of God(10E)》ではほとんど効果がない。逆に相手が《滅び/Damnation(PLC)》を入れてくるのでこちらはできるだけ少ないリソースにリセットをかけさせる必要があり、なおかつリセット後も盤面に影響を残すカードが好ましい。メインでは《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》がそれで、しかしリセット耐性は心許ない。まず単体で絶対に除去されない《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》、そしてP黒に安全に着地させることができラス耐性のある《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》、最後に《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》、この3種の搭載があってはじめてサイド後もがっぷり四つで戦えることが判明した。

4《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》+3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》+3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》といったところか



 さらに対青白コントロール。メインで絶望、サイド後も《質素な命令/Austere Command(LRW)》を3枚以上積まれてると絶体絶命、ていうか負けてる、という無謀極まりないマッチアップだったので、勝とうとは考えないプラン。それでも有効なカードをできるだけ採用できるとしたならば、

4《解呪/Disenchant(TSB)》系+3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》くらいだろう。



     ・
     ・
     ・



 このように各マッチアップ後に必要カードとインアウト(メインは既に固まっていたため)を考えていき、上記のメタと照らし合わせて得られた結論は、《神の怒り/Wrath of God(10E)》の不採用であった。なんといっても「同型とかそんなにいないだろ」これに尽きる。それに対して緑黒タルモガラクはこれから数を伸ばしてくるだろうし、上位に残ることも確実と目されたので、必要カードは全採用し、これを基盤にして残りのマッチアップの分も微調整を施していく運びとなった。

 その結果・・・



4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
4《白き盾の十字軍/White Shield Crusader(CSP)》
2《鏡の精体/Mirror Entity(LRW)》
4《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
2《酷寒の枷/Gelid Shackles(CSP)》
4《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
4《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
19《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower(10E)》

4《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》
3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》
3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》
3《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel(TSP)》
2《解呪/Disenchant(TSB)》


 こうなる。解呪とケストレルは、アーティファクトで割りたいものが《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot(CSP)》と《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer(10E)》(あるいはせいぜい《吠えたける鉱山/Howling Mine(10E)》くらい)しかなかったためケストレル優先、インアウトの兼ね合いもあって3:2。


 さてマッチアップごとのインアウトを見てみると、


◎対緑黒タルモガラク
In
4《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》
3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》
3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》

Out
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
2《鏡の精体/Mirror Entity(LRW)》

 相手のサイド後は単体除去8枚以上+4枚の《滅び/Damnation(PLC)》+2枚の《ロクソドンの戦槌/Loxodon Warhammer(10E)》という形になるので、生物を数並べて押し切るプランは瓦解する。常に二体程度の強力クリーチャーでダメージレースを上回りながら相手にリセットをかけさせる、これを我慢強く繰り返す必要があるため、単体で弱い勇丸、除去でシャクられる上に単体で置き物の主をアウト。また数を並べないとあまり強くない鏡も抜く。除去は全部黒なのでP黒を8体用意し、特に《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》は《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》を貼ると相手の攻撃を《叫び大口/Shriekmaw(LRW)》以外シャットアウトできる。またこれに《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》を着地できればかなり有利になるだろう。いずれにせよ消耗戦は確実なのでダメ押しに《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》。ただ相手が《原基の印章/Seal of Primordium(PLC)》までとっていると上記のプランがすべて崩壊するが、そこまで練習してる手練の緑黒相手はもう何をやっても勝てないということにしておく。


◎対青白コントロール
In
3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》
3《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel(TSP)》
2《解呪/Disenchant(TSB)》

Out
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
1《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
2《酷寒の枷/Gelid Shackles(CSP)》
1《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》

 ヘビーパーミッションではなく、リセット連打+《テフェリーの濠/Teferi’s Moat(TSB)》or《物語の円/Story Circle(10E)》に《糾弾/Condemn(10E)》や《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》といった単体除去まで揃ってるよ的生物ガンメタデッキである。メインはどうやっても落とすとしても、サイド後はささやかながら抵抗できる。《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》を入れるのに土地を減らすのはどうかという話もあるが、どうせ《吠えたける鉱山/Howling Mine(10E)》で引かされるから変わらないとはイカ彦の弁。いずれにせよ《質素な命令/Austere Command(LRW)》が致命的すぎるので序盤にかなりビート→捌くための《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》や《物語の円/Story Circle(10E)》を割ったりリムーブしつつプレッシャーをかけ、残ったライフを《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》で削り命令を撃たれる前に勝つしかないという綱渡り的ゲームプラン。《吠えたける鉱山/Howling Mine(10E)》を返しで《解呪/Disenchant(TSB)》か《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》できれば楽かもしれないが、基本的には絶望100%のマッチアップである。当たらないことを祈ろう。



◎対青緑タッチ白マーフォーク
In
3《グリフィンの導き/Griffin Guide(TSP)》

Out
3《白き盾の十字軍/White Shield Crusader(CSP)》

 《神の怒り/Wrath of God(10E)》をとらなかったため、ほぼメインの形のまま戦うことになる。相手が《送還/Unsummon(10E)》も《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》もとってない前提になるので、見たらメインに戻して戦うしかない。《風生まれの詩神/Windborn Muse(10E)》を《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》できないと圧敗だろう。《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》もかなりきつい。緑黒より絶対数は少ないだろうが勝ち上がってくること間違いなしのデッキなのでもっとスペースを割きたいのだが、同型をメタるのと同じような、つぶしの効かないカードが増えることになるため、今回は無視気味である。事故れ事故れ〜と祈ろう。



◎対同型
In
3《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel(TSP)》
2《解呪/Disenchant(TSB)》

Out
4《白き盾の十字軍/White Shield Crusader(CSP)》
1《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》

 ほとんどいないだろうし、相手のキスキンも同型をわざわざメタりはしないだろうから、《神の怒り/Wrath of God(10E)》はない前提で、いわゆる「ぶんぶん」さえなければ必ず膠着するので、《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》を処理しつつクロックを展開する《雲を追うケストレル/Cloudchaser Kestrel(TSP)》は最強。ワンチャンス《解呪/Disenchant(TSB)》でシャークできるかも、くらい。いずれにせよ同型に当たるとは微塵も考えていないので気持ち程度の配慮で十分だろう。



 よくわからない系のコントロール相手などは、構成によるが《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》を積むのは確定で、大抵は12枚くらいのキスキンを抜いて12枚くらい入れることになる。なんだこの欠陥デッキは。

 書けば書くほどなんでこのデッキで出たのか怪しくなってくるが、過ぎたことを言っても始まらない。とにかくこのような下準備を経て、もはや優勝しかないだろという妄想が現実味を帯びた・・・と妄想するに至ったのであった。


           (やっぱり疲れたので)?へ続く→

コメント

シミチン
シミチン
2007年10月30日15:21

続き期待

AKKA
AKKA
2007年10月31日19:37

ワクワク。

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