何故ビートなのか?そこにライフがあるからさ。
都道府県選手権を間近に控え、ローウィン環境のスタンダードを理解するために出場したPWC140th。そのデッキレシピは以下のようなものだった。
『Over the Sky/Hitomi』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
4《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
2《鏡の精体/Mirror Entity(LRW)》
4《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
3《酷寒の枷/Gelid Shackles(CSP)》
3《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
4《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
19《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
2《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower(10E)》
4《幕屋の大魔術師/Magus of the Tabernacle(PLC)》
3《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》
1《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
3《沈黙のオーラ/Aura of Silence(10E)》
4《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》
白単キスキン・・・だがローウィン発売当初は《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg(LRW)》こそがキスキンを全体除去から守るウィニーの救世主として期待されていた、つまり白緑キスキンこそが正道のはずである。それが何故白単なのか。
まず理由の1つとして、緑白キスキン土地がないことが挙げられる。マーフォークには青白土地、ゴブリンには赤黒土地、エルフにも緑黒土地があるというのに、キスキンには土地がない。するとどうなるか。
『サンプルレシピ:GWキスキン』
4《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
4《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
4《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
4《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
3《ガドック・ティーグ/Gaddock Teeg(LRW)》
2《サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter(TSP)》
4《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
4《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》
4《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
4《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
4《低木林地/Brushland(10E)》
3《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
3《極北の干潟/Arctic Flats(CSP)》
13《冠雪の平地/Snow-Covered Plains(CSP)》
このようにマナベースの安定を図るためにタップインの二色土地を入れた上で大量のダメージランドに頼らなければならない。直接火力やクロックを突然上げる手段に乏しいガチンコの生物戦闘デッキではダメージレースが命。同型含めた生物デッキが多い(と思われた)メタではこのようにアクションの度にダメージを食らう形を採用するわけにはいかなかった。
しかしビートダウンのアプローチとしては、白緑がダメだったといってすぐ白単になるわけではない。逆に緑単も考えうる。ゲームのFFのコンフィグでできるウィンドウの濃淡調整の棒グラフ的イメージで書いてみると、
W白単キスキン
│
│
│白緑キスキン
│
│
│
│
│ブロック構築的白緑ビート
│
│
│《ブランチウッドの鎧/Blanchwood Armor(10E)》的、あるいは
G エルフ的緑単
美術の評価が10段階で4だった筆者の努力を察して欲しい。
それはともかく、何故緑単ではダメなのか。白単よりは《神の怒り/Wrath of God(10E)》や《滅び/Damnation(PLC)》に強そうにも思える。
しかしここで今回の至上命題に行き当たる。
ガラクよ自重しろ。
3500〜4000円を推移するガラク。緑単なんてまさに4枚搭載してナンボといったところ。人から借りられなくもない、使おうと思えば使える。だがしかし俺はあえて使わない。ガラクを超速ビートダウンで打ちのめし、人々の目を覚ます。人はガラクのみにて生きるにあらず。
しかしそれならば緑メインにしないのはともかく白メインでビートする必要性はあるのか?たとえばシミチンのようにマーフォークでもいいのではないか。
確かにそれもそうだ。だがあのAtlantic Goyfは既に1つの完成された形(あとはガラクを抜くだけ)であって、今から改めて俺が手をつけるまでもない。それに対して白いビートダウンは、その完成形に至っていないと考える。そう、この混沌の時代を生き抜く白ビートの形。それを見つけるまでは、俺はビートダウンを使い続ける。制約と誓約。俺の魂が叫ぶんだ。白くあれ、ってな。
と、いうわけで白単だ。
では次に、個別のカード選択の検討に入ろう。
○《ゴールドメドウの重鎮/Goldmeadow Stalwart(LRW)》
もはや何も言うことはない。勇丸だ!しかも対消滅しないよく訓練された勇丸だ!!キスキンにしたのはこいつを使うために他ならない。問答無用の4投入。
○《ゴールドメドウの侵略者/Goldmeadow Harrier(LRW)》
既に述べたようにダメージレースが命の白単においては1マナで展開できるタッパーも優秀な生物。しかも《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》や《栄光の頌歌/Glorious Anthem(8ED)》で即座に殴り手に早変わりする。勇丸と並んでキスキンの要だろう。
○《皺だらけの主/Wizened Cenn(LRW)》
そしてキスキン専用の歩く《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》、しかも2マナ!こいつの登場によりキスキンは往年の8クルセイドを彷彿とさせるような動き、4ターン目にして4/4の群れが殴ってくるような理不尽な動きが可能になった。こいつ自身の戦闘性能がクマーなのと生物ゆえのシャクられやすさが難点だが、キスキンである以上は文句のつけようがないだろう。
○《メドウグレインの騎士/Knight of Meadowgrain(LRW)》
勇丸より実はこいつの方が要なんじゃないか?と思うくらいに反則気味の戦闘性能。スピリンはダメージレースを崩壊させます。ワンサイズ上がると誰にも止められない。素敵無敵パーペキの白ウィニークリーチャー!
・・・だが、これらはあくまで「キスキン」という形を取ることが前提になっている。そもそも勇丸などはその制約のせいでデッキ構築を限定するし、種族としてのシナジーを抜きにして単体のカードパワーで通用するのはメドウグレインくらいか、そのメドウグレインも回避能力を持たないことから今の地上生物の性能を考えれば普通の白ビートなら採用されるかは怪しいところである。
「キスキン」でない白単ビート?・・・そんなことが可能なのか。しかしそれはキスキンでも通用すると考えていたこの時の我々には想像もつかないものだった。それは都道府県選手権後に改めてどこかで紹介するとして、今はキスキンを前提とした白単という構築に疑問を挟むことなく読んでいただきたい。
○《鏡の精体/Mirror Entity(LRW)》
生物戦では無敵。それだけ。特に同型でその性能を発揮するのだが、同型なんてそんなにいないんじゃね?という予測と、たくさん引くとテンポが著しく阻害されるために2枚。さりげにキスキンなので勇丸との噛み合いもあるのだが。
○《セラの報復者/Serra Avenger(TSP)》
最強。
○《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》
この時は赤いデッキをメタの中核に据えていた。それだけの話。
○《栄光の頌歌/Glorious Anthem(10E)》
1→2で動いて3でこれを置くのがコンセプト。
○《忘却の輪/Oblivion Ring(LRW)》
さすがに万能すぎるだろ。
○《酷寒の枷/Gelid Shackles(CSP)》
《根の壁/Wall of Roots(TSB)》やマナ生物に対しては返しで簡単に無力化こちらの方が優秀。ただ普通の生物に対しては毎ターンのマナ拘束は結構つらい。
○《近づきがたい監視塔/Forbidding Watchtower(10E)》
ラスに対するささやかな抵抗。
○《地平線の梢/Horizon Canopy(FUT)》
余ったらドローに変換できるとか便利すぎるだろ。でも痛いので3枚。
メインのキスキン以外のパーツはなるべく丸く、しかし生物戦では通常の輪4枚より大目の除去6枚で他のキスキンに差をつけようということで枷と輪を3:3の採用。
○《幕屋の大魔術師/Magus of the Tabernacle(PLC)》
同型対策に試験的に投入。しかし死ぬほど弱かったので二度と使われることはないだろう。
○《ヴェクの聖騎士/Paladin en-Vec(10E)》
紳士の嗜み。
○《沈黙のオーラ/Aura of Silence(10E)》
レンズレリック系デッキと同型どちらにも効くが中途半端だった。2コスト重くなってグロるのは白コンくらい。つまり要するに《解呪/Disenchant(TSB)》でよかった。
○《聖なるメサ/Sacred Mesa(TSB)》
調整相手のイカ彦の主張する「白ウィニー最大の成果」それがこのサイドのメサである。白ウィニー相手にサイドインされるのは大抵は全体除去、あるいは単体除去、とにかく生物対策に目がいきすぎて、エンチャント対策は疎かになりがち(注:現在ではそうでもない)なことから、対コントロール戦において、おもむろにサイドから対処不能のメサをプレイして大量のペガサストークンで蹂躙しようというのは確かに良い着眼である。メインの土地も24枚、サイドから25枚に増量すればコントロールが使うメサばりのトークン生産能力が期待できよう。
そして結果は6−1だった。なんだ通用するじゃないか!そう思ったのが浅はかだったか。いずれにせよ《神の怒り/Wrath of God(10E)》や《滅び/Damnation(PLC)》を積んだ青いコントロールは《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(LRW)》の影響で減ってきている、我々の時代だ・・・そう考えた我々(俺とイカ彦だけだが)は白単キスキンという大まかなアーキタイプを維持したまま、都道府県選手権へ向けて最終調整を開始した。
ここで《野生語りのガラク/Garruk Wildspeaker(LRW)》出して全体除去を撃つことをコンセプトにした青くないコントロールがスタンダードを席巻するだろうことを予測できていれば、あるいはキスキンではないビートダウンに乗り換えることも可能だったかもしれないが。
(疲れたので)?へ続く→
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