ISBN:4088771516 コミック 甲斐谷 忍 集英社 2006/10/19 ¥530











 この『スティール・ボール・ラン』レースは1890年9月25日午前10時 この太平洋『サンディエゴ』のビーチをスタートしゴールを『ニューヨーク』とする人類史上初の乗馬による北米大陸横断レースである


 失敗というのは・・・いいかよく聞けッ!

 真の『失敗』とはッ!開拓の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事をいうのだッ!

 サンディエゴニューヨーク!!サンディエゴニューヨーク!!


 (注:この日記はプロツアーサンディエゴの参加レポートです)




 双頭巨人戦ドラフトという特殊なフォーマットにおいて、いかにして他のチームとの差をつけるか。それが、PTQを抜けた後俺と資産家が直面した課題だった。例えば、《アクローマの記念碑/Akroma’s Memorial(FUT)》はみんな初手だし、《大量の芽吹き/Sprout Swarm(FUT)》だってそうだ。《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron(TSP)》は変わらず強いし、《ぶどう弾/Grapeshot(TSP)》などのストームは無類の強さを発揮する。肝心なのは、こういった誰でもある一定以上の点数をつけるカードをやはりそれなりに評価しているかどうかではなくて、誰もが注目するカードを対処するカードを高くしたり、誰も注目していないカードを一周させておいてデッキのキーパーツとしたり、つまりそこには他チーム平均より高い環境理解と、明確なる意思を持ったデッキ構築戦略が必要となる。

 今回のプロツアー参加にあたって、池袋オーガでの練習に何回か参加させてもらったが、カードの点数は数回の練習で概ね皆の共通認識になっていたけれど、ピック戦略はチームごとに全く違ったように思われる。構築のプレミアイベントと違って、同じコミュニティ内でもカードの点数みたいな単体の情報以外の有機的な情報のやりとりがない(構築の練習はほぼ100%デュエルによるために、対戦相手との間で非公開の情報がほとんどなく、アプローチが同一のものになりやすいのに対し、ドラフトの練習は非公開のピックが半分以上を占めるために、同じ卓にいても相互の理解度に与える影響が少ない)ために、自分たちで有効な戦略を見つけ出す必要があった。


 話は前後するが、プロツアーが一ヶ月先に迫った段になって、我々はとりあえずサンプルとしての戦略を立て、それを修正していくプランをとった。以下ではまず我々がどのように考え、そしてそれをどのように修正していったのかを、掲示板のログを追いながら検討してみようと思う。



[10] Name:まつがん Date:2007/06/07(Thu) 05:14 No.880
 そろそろ戦略というかそういう視点の検討に入りたいのだが。以下はとりあえずサンプルとして提示してみる。アオキとの共通認識があるならピック時間の省略につながるし、違う部分はあらかじめ一致させておけばなお良い。

・1〜2パック目はハンデス&マッドネスのある黒とディッチャ&大量の芽吹きのある緑を固めて取る方針。ディッチャは絶対デッキに入れるし、なかったら無理してでも取る。3パック目通して存在するから焦る必要はないが、自分が白を使っているかいないかに関わらず(相手のデッキの《輝く透光/Lucent Liminid(FUT)》の存在に関わらず)デッキにあったら有利なのは間違いない。サイズが小さい上に除去が少ない白にはなるべく手を出さない。1マナ待機があるとはいえ、《象牙の巨人/Ivory Giant(TSP)》はゴミだし《トロウケアの影/Shade of Trokair(PLC)》はマナかかるのでそこまで強くはない。《サーシの騎士/Knight of Sursi(FUT)》は強いが点数もそれだけ高いので除去と1対1は結局それなりの価値だと思う。《ベナリアの騎兵/Benalish Cavalry(TSP)》と《流動石の媒介者/Flowstone Channeler(TSP)》の点数は低く、《獣群のナール/Herd Gnarr(TSP)》は高く修正した。

・コモンの点数は、現在の私見だが、《精神攪乱/Mindstab(TSP)》>《ぶどう弾/Grapeshot(TSP)》>《巣穴からの総出/Empty the Warrens(TSP)》>《絞殺の煤/Strangling Soot(TSP)》>《遍歴のカゲロウ獣/Errant Ephemeron(TSP)》>《地の底のシャンブラー/Subterranean Shambler(TSP)》>《闇の萎縮/Dark Withering(TSP)》>《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》>《時間の孤立/Temporal Isolation(TSP)》って感じ。これらは当然色の価値を加味している。ハンデスとストームと全体除去だけはイレギュラー。ハンデスは《大火口のカヴー/Firemaw Kavu(TSP)》より高いが《硫黄破/Sulfurous Blast(TSP)》よりは下。《消えない賛歌/Haunting Hymn(TSP)》は点数付けが難しいが普段より強いのは間違いないし色を考えると早めに取っておきたい。TSPの緑のコモンはパッとしないが後になればなるほど入りにくくなるので色主張はしておきたい。

・《菅草スリヴァー/Sedge Sliver(TSP)》か《増力スリヴァー/Might Sliver(TSP)》を引かない限り積極的にスリヴァーには行きたくない。やるなら黒抜きか青抜きで白と緑は絶対にやることになるが、その際でも微妙なスリヴァーやマルチカラーのスリヴァーはなるべく一周させる努力はする。《筋力スリヴァー/Sinew Sliver(PLC)》とかは見たら取るが、《焼灼スリヴァー/Cautery Sliver(PLC)》は流してもいい。《死亡/Dead(PLC)》/《退場/Gone(PLC)》や《マイアー・ボア/Mire Boa(PLC)》の方が強い。とはいえ、なるべく白はやらない方針なのだからやはりスリヴァーの点数は(たとえ《断骨スリヴァー/Bonesplitter Sliver(TSP)》でも)相対的に下がる。

・プレナーカオスのコモンは《死亡/Dead(PLC)》/《退場/Gone(PLC)》が最も強く、《模る寄生/Shaper Parasite(PLC)》、《本質の管理人/Essence Warden(PLC)》と続く。白で取れなくて困るのは《太陽の槍/Sunlance(PLC)》だけで、他の四色をやれていればそれを補って余りある除去が取れるはず。同時に緑は強力コモン目白押しなのでここできっちり穴埋めをしておきたい。《荒廃語り/Blightspeaker(PLC)》の点数は、現段階でもそこまで低く見積もっているつもりはないが、一応それなりに修正しておく。とはいえこれを取るのは3パック目の中盤過ぎてからなので、そこまでに《ラースのわな師/Rathi Trapper(PLC)》か《大物狙い/Big Game Hunter(PLC)》が取れていなければやはりそこそこの点数に落ち着くだろう。

・展開パーマネントのマナカーブが多少歪でもその分軽い除去がちゃんと枚数あればなんとかなるので、やはり基本は除去。両方のデッキに4〜5枚ずつ入っているのが理想。《重い拳/Leaden Fists(FUT)》も《ユートピアの誓約/Utopia Vow(PLC)》もちゃんとした除去です。





 6/5の練習で感じたことがメインになっているが、要約すると「白ってなんだか弱いよね」ってことである。まだこの段階ではビートしたい気持ちが強くて、《獣群のナール/Herd Gnarr(TSP)》を低く見積もりすぎたとかで修正したり(実際はどんなに低くしたって足りないくらいなのだが)、《死亡/Dead(PLC)》/《退場/Gone(PLC)》が《模る寄生/Shaper Parasite(PLC)》より高かったりしているが。

 コモンの優先順位もなんだか適当で、そもそも《稲妻の斧/Lightning Axe(TSP)》はどこいったんだとか、《取り消し/Cancel(TSP)》はどうしたんだとか、ツッコミどころはまだまだたくさん。




[11] Name:アオキ Date:2007/06/10(Sun) 22:17 No.885
白を基本無視ってのには賛成。

白は基盤色にならないと弱いかつ競合したら基盤色になりにくい故に弱いからなんだけど、例外的に
・緑t白(というよりthrillとhedgeとマイコのみ)
・黒白レベル
は白を基盤にせずとも強さを活かせるので、念頭には入れておきたいかな、というのがオレの意見。
とはいっても、考慮するカードは白のうちほんの一握り、具体的には
1,2パック目・・・thrill,isolation,raptor,rebel
3,4パック目・・・sunlance,塩平原,マイコ,hedge
とかなり絞られてるのでこいつらだけは“白補正”抜きで評価する感じ。他の白のパーツは依然目もくれない感じ。

それすらもブレだから白なんか全く取らない!というのなら話は聞くから言ってくれ。

周りの話聞いても白弱いから避ける傾向はあるみたい。もちろん外人は知らないし、結局イタチゴッコだから気にしないほうがいいけどあくまでも情報として。
[12] Name:まつがん Date:2007/06/10(Sun) 22:52 No.886
 《城の猛禽/Castle Raptors(TSP)》に関しては確かに白無視戦略の垣根を越えるレベルに強いとは思うけど、《時間の孤立/Temporal Isolation(TSP)》についてはそうでもないな。プロツアーのレベルなら当然ディッチャ入れるのが基本になってるだろうし、つけられる生物が限定されすぎる。むしろこのレベル(levelね)を流して積極的に白をやらせてこその戦略だと思う。《アムローの偵察兵/Amrou Scout(TSP)》についても同様。両脇か、できれば他3チームに白やってもらうのが最良なんだから、リクルーターだけ一応もらっておくかでは話にならない(ていうかぶっちゃけリクルーターとかアイソレーションより《オークの連続砲撃/Orcish Cannonade(TSP)》の方が強くね?w)。《狩りの興奮/Thrill of the Hunt(TSP)》は元々純粋に緑のカードとして評価してる。緑やってたらランパン1枚くらい取れるでしょ。

 つまり1・2パック目で白いカードを取る理由はほとんどない(城の猛禽についてだけ、タッチでも使えるから一応保留だが、シグナルが出せる場面なら流しちゃっても問題ないと思う。所詮は「白いカード」なのだから)と評価できる。他に取るものがない場面でも積極的に流す。白はやれそうだなってあからさまに勘付くくらいじゃないと意味がない。だから例外はなるべく認めたくない。《淡色のマイコダーム/Pallid Mycoderm(PLC)》は結局《大量の芽吹き/Sprout Swarm(FUT)》あってこそだから、別段これ自体それほど早くピックするわけではないし、ただの白いカードだと思う。《垣のトロール/Hedge Troll(PLC)》も、そりゃまぁ平地がありゃ強いんだけど、やっぱり自分が使えるかどうかで判断することになると思うよ。《塩平原の世捨て/Saltfield Recluse(PLC)》はギリギリ、ゴールバーに弾かれ惜しくも得点チャンスを逃すって感じ。タッチでも強いっちゃ強いけど、それだって《模る寄生/Shaper Parasite(PLC)》より下だ。自分から取って、わざわざ他のチームの「白いけるかな」を潰すことはない。《太陽の槍/Sunlance(PLC)》は除去の少なくなりがちな緑デッキにタッチで入れるのは全然アリだからここだけはまぁ例外になるか。《怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath(TSB)》は・・・どうしようかな・・・

 そりゃあ結局どこかのチームが手を出す、出さざるをえないチキンレースなんだけれども、制約と誓約があれば少なくともうちらはやらなくて済む。まぁまだこの戦略が実用レベルかはわからないが、やるならとことんやりたい。弱い白は嫌いだから強いカードだけ掠めてあとは知りませんってのは、それはそれで素直に他のチームが白やってくれりゃベストだけども、そんなんで白やってくれるわけないじゃん。そしたら結局白の強いカード持ってるうちらが手を出すハメになるに決まってる。そうじゃなくて、なんとかして「うちだけ白抜き」という状態にしたいわけだから、てことはむしろわざと卓に白のカードは溢れさせなきゃダメってことになると思う。もちろんここまで内容は全部妄想だけど。

 次の機会があったら、ちょっと試してみるか。制約と誓約でどこまでやれるか。

[13] Name:アオキ Date:2007/06/10(Sun) 23:05 No.887
あとはデッキの完成形をどこまで意識するか、とか。

このまえ議論になった「2人が2ターン目パワー2だしてビートするのが環境のベストか?」って話に関係するんだけど、それは2つのデッキが両方テンポ良くてかつ軽い除去とトリックが満載、ならもちろんそうだろう。

けど実際そう組めなかった場合に、例えばデッキが全体的に重くて構えるデッキな時に中途半端に軽いだけのクリーチャーを数枚入れることが本当に効果的かな?

2/2とか2/1のビートって結局どんないいスタート切れても相手の片方が2/4出してもう片方がマナ構えたら、そこで終わっちゃうよね。先手ならそれでも勝ちきることありうるけど、それってたまたまじゃない?

なにが言いたいかというと、ゲーム決めるのはただの2マナパワー2が何体場に出たかじゃなくて↑の状態を打破できるボアであり、騎兵であり、飛行であり1マナ2マナ待機生物でしょ?
それならがむしゃらに攻めるんじゃなくて勝ちまでの道が見えるデッキ作ろうよ&そのためにはどうしたらいい?ってことを提案したいんです。

2つのデッキで1つのゲームするんだから、「アーキタイプ×2」じゃなくて「2つで1つのアーキタイプ」って考える感じ。

実際はピックしながら作らなきゃならないから軌道を修正してくのは相当至難。けど前提でいいから今までにうまくいったデッキの組み合わせだけでも確認しておいたら完成像の参考なるんじゃない?

[14] Name:アオキ Date:2007/06/11(Mon) 00:13 No.888
>12にレス。

全く以て仰せの通りなんだけど、この戦略(脳内)のポイントは卓内で白やるチームを減らさずにかつこっちにおいしいとこだけとること。卓内で白やりたいってチームは

?自分でどうしても使いたい白のカード引いちゃった
?流れ

のどっちかの動機だろうけど、そのどっちにもバレない、本当に“紛れ”にしか受け取られない程度の量しかとらない。だから絶対に使う予定以上にはピックしない。
ちょっと都合いいかもしれないけど、isolationとraptorだけとって以降他の白ガンスルーしたら、「白やってないな」かソート読める人でも「白に手出したけどやめたな」て思うんじゃないかな?
あくまでこっちの目標は「白の特定のカードのみを48ピック90枚中7枚程度取る事」だから。

利点は2つ
?.こっちの欲しいカードが白を「中心で」やりたいプレイアーの欲しいカードとズレてる
?.ローリスクハイリターン

?についてはそれこそ制約で決めたカード以外はケストレルでも影でもアクローマでも流すことで??のどちらのケースのプレイアーも騙す。

?についても言わずもがなだけど、必要カードが出なかった時点でうちらはこの戦略を放棄するから、いつまでも固執することもなければ無駄ピックもほぼ無いという低リスクで、白を中心にするとき以上リターンがある。

負けず劣らず全て脳内だけど。

オレはアイソレーションはそんな評価低くないです。蜘蛛とゴッド止められてトリックにも使えるカードだからね。そもそもエンチャント・アーティファクト1枚以上入ってるのが「1チーム1解呪」原則の根底だから、アイソレーション抜いたところでまだ残ってたら意味ないよ。

[15] Name:まつがん Date:2007/06/11(Mon) 00:39 No.889
 納得した。アクローマは流すけどアイソレーションは取る、か。それなら確かに戦略としては成り立ちうるな。あの時間と思考きつきつの双頭巨人ドラフト中にソートが読まれなければ破綻しない。ただ、「白の特定カード」だからな。やはり除去かそれに準ずる、しかもタッチで使えるカードというのが前提になるだろう。《淡色のマイコダーム/Pallid Mycoderm(PLC)》なんか取ってる場合じゃない。

 《時間の孤立/Temporal Isolation(TSP)》と《太陽の槍/Sunlance(PLC)》の二種は堅いとして、《城の猛禽/Castle Raptors(TSP)》と《塩平原の世捨て/Saltfield Recluse(PLC)》がライン上だな。あとは全部スルーか。《一瞬の瞬き/Momentary Blink(TSP)》とか微妙だが、所詮受け身のスペルだからあんまり強くないしな。《花崗岩の贈り物/Gift of Granite(FUT)》と《マナの税収/Mana Tithe(PLC)》が使えなくなるのが残念だが、なかなか面白そうだ。

 ぶっちゃけこの環境に中途半端に軽いだけなんていう甘い生物は存在しないと思うんだ。そりゃあ《エンバーワイルドの占い師/Emberwilde Augur(FUT)》とか《霊糸の幻/Gossamer Phantasm(PLC)》になると微妙なラインだけど、やっぱり相手が先手の時を考えると相打ち要員は欲しい。《モグの戦争司令官/Mogg War Marshal(TSP)》とか、デッキが重いんだったら尚更強い。ゲームが長引いた時に撃つスペルが何もありませんってのも問題だけど、この環境はやはりテンポで押せる形を最終形にするのがベストだと思う。そうそう全体除去なんて引けないし、二人ともがマナカーブ通りに行動したら受けに回ってもそうそう止めきれるもんじゃないってのは何度も体感済みだしね。今までにうまくいったデッキでいうなら尚更、テンポ以外で勝った記憶がない。




 6/5の練習だけでここまで議論が飛躍するというのもすごい。この時点でもまだテンポ信者。《淡色のマイコダーム/Pallid Mycoderm(PLC)》流すとか言ってるし。タッチで使う分には《大量の芽吹き/Sprout Swarm(FUT)》がないと微妙なのは事実だったが、白メインで使うと4マナ圏としては最強なのになー。

                      ?へ続く→

コメント

あくあ
ACQUA
2007年7月4日12:51

PTのカバレッジ並に更新待ち遠しいです

まつがん
まつがん
2007年7月4日13:17

結構色んなことしながら書いてるからべったり張り付いてるよりは夜に一回F5押すだけの方がいいと思う

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