グランプリ京都?

2007年3月16日
 遂にこのときがやって来た。PTQを抜けることもままならない実力の俺としては、プロツアー横浜の権利を獲得するにはグランプリで16位以内に入るしかない。そっちの方が難しいんじゃないかって話もあるが、エクステンデッドとスタンダードは同じ構築戦でもやはり全く違うものであり、そして何より、スタンダードにはプレナーカオス前環境「最強」のボロスがある(注:エクステンデッドにおけるボロスはいまや「最強」ではない)

 だが、そう、前環境最強。もはやそれは揺ぎ無い事実としても、そこにプレナーカオスが入ったことで、ボロス自身も、そして他のデッキも、大きな変革を迫られた。

 まずは何をおいても、《カルシダーム/Calciderm(PLC)》の存在。これによりボロス同型は《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge(GPT)》によるテンポゲーとは違う新たな局面へとシフトした。《石覆い/Stonecloaker(PLC)》はその良き相棒として、また墓地対策としてもそのまま使える高いスペックを評価され、2枚ほどではあるが採用されるようになった。

 そしてそのボロスを狩ることができるデッキとしてのトリコロール。《壊滅させるものヌーマット/Numot, the Devastator(PLC)》は《稲妻の天使/Lightning Angel(AP)》と《ボガーダンのヘルカイト/Bogardan Hellkite(TSP)》の間を埋めるマナ域のカードとして最適であり、同様に《爆裂/Boom(PLC)》/《破綻/Bust(PLC)》は対コントロールの切り札として、時に《トロウケアの敷石/Flagstones of Trokair(TSP)》と組み合わせて2ターン目のデメリット無しのランデスとして、往年の《ハルマゲドン/Armageddon(6E)》に勝るとも劣らぬ脅威である。またサイドボードの《エイヴンの裂け目追い/Aven Riftwatcher(PLC)》は対ビートダウン戦をさらに磐石なものとしている。

 《滅び/Damnation(PLC)》はまさに黒い《神の怒り/Wrath of God(9ED)》であり、新たなアーキタイプを次々成立させるに足る待望の黒の全体除去である。青黒トロンや太陽拳、そしてPicklesといった従来からあるアーキタイプのデッキもこれにより大幅に強化されたと言えよう。

 《調和/Harmonize(PLC)》も、《迫害/Persecute(9ED)》が跳梁跋扈するスタンダードにおいては頼もしい緑色のドローサポートとして青緑トロンに収まった。どちらの色を指定されようが簡単にリカバリーが可能というのは青赤トロンにはない利点である。

 その他にも、プレナーカオスは明らかに環境に多大なる影響を及ぼしていた。《バザールの大魔術師/Magus of the Bazaar(PLC)》はリアニメイトや発掘デッキのキーカードとなったし、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ/Urborg, Tomb of Yawgmoth(PLC)》は《死の溜まる地、死蔵/Shizo, Death’s Storehouse(CHK)》のように1枚差しの、しかし通常のより頼もしい《沼/Swamp(TSP)》である。

 だが、それらは結局ボロスからすれば些細な変化でしかない。元からトリコロールには相性が悪いし、青緑トロンや発掘デッキに対しては相性は良い。ある一点を除けば、プレナーカオスの参入はボロス使いにとってはせいぜい同型の態様が変わる程度の変化しかもたらさない、平和なものとなるはずであった。







 而して、そうはならなかった。《硫黄の精霊/Sulfur Elemental(PLC)》の存在である。

 瞬速・刹那持ちの3/2、白のクリーチャーは+1/−1の修正・・・赤い生物にあるまじきコストパフォーマンスのそれは、ボロスデッキの有するコンセプトの一つである「マナカーブ」を崩壊させた。《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》はこの刹那持ちの悪魔に対してあまりにも無力過ぎたのである。プレナーカオス以前ならば赤いデッキに対して確実な2点クロックとして機能した《サルタリーの僧侶/Soltari Priest(TSB)》すらも完封されるために、ほとんどのデッキに対しては《聖なる後光の騎士/Knight of the Holy Nimbus(TSP)》の方が確実に強いとまで言える環境になってしまった。

 必然的にボロス使いたちは生き残る術を模索したが、結局のところ「まぁ出されなきゃ大丈夫っしょ」と開き直るか、「サイドから《天界の十字軍/Celestial Crusader(TSP)》取ってるから帳消しでしょ」と自分を誤魔化すしかなかった。冷静に考えれば帳消しのはずがない。3マナと4マナの差があり、しかも出された段階でアドバンテージは既に取られてしまっているのである。

 はっきりいって従来通りのボロスでは勝ち目がない。幸いにして《カルシダーム/Calciderm(PLC)》は《巨大ヒヨケムシ/Giant Solifuge(GPT)》より《硫黄の精霊/Sulfur Elemental(PLC)》に強く、また環境的にも強いことは明らかだったために、コンセプト上この白い《ブラストダーム/Blastoderm(NE)》をナチュラルに4積みできるボロスというアーキタイプをみすみす放棄するのは気が進まなかった。いや、今考えれば、従来型のボロスのマナカーブの美しさに魅入られすぎて、マナカーブを放棄してまでボロスを貫くその矛盾に気づけなかっただけだったのかもしれない。

 いずれにせよ、ボロスを使い続けるならば、白いタフネス1は減らさざるをえない。コントロールに対してイマイチで、ほぼ同型にしか効果がない《アイケイシアの投槍兵/Icatian Javelineers(TSB)》の全抜きは確定としても、生物の全体量は減らしたくない。とすれば、《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda(CHK)》がいない今、何をチョイスするべきか。

 俺は即座に《空騎士の軍団兵/Skyknight Legionnaire(RAV)》に手が伸びそうになるのをぐっとこらえて、《レオニンの空狩人/Leonin Skyhunter(9ED)》を手にとった。


                       ?へ続く→

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